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軽やかなステップと抜け感のある踊りが魅力的なハウスダンス。TikTokやInstagramなどではハウスダンスを取り入れた振り付け動画も流行り、人気ダンスジャンルの一つとなっています。
しかし、ハウスダンスをやったことのない方にとっては、ステップのことや他の似たダンスジャンルとの違いなど分からないことも多いでしょう。
本記事では、ハウスダンスの特徴や歴史・ヒップホップダンスとの違いやおすすめの練習動画など、初心者向けに徹底解説していきます。
ハウスダンスとは、ディスコで流れていたハウスミュージックに合わせて踊るダンスをいいます。
1小節中に4回ビートが打たれる「四つ打ち」の音楽で一定のリズムが繰り返されるのがハウスミュージックです。今ではクラブでもよく使われます。
早いテンポの曲に合わせた軽やかな足のステップがハウスダンスの踊りの特徴です。ダイナミックなフロアワークもテクニックに入れることがあります。
ハウスダンスは、1980年代の初め頃にアメリカのシカゴでハウスミュージックの誕生とともに生まれました。シカゴで生まれ、その後アメリカの各地に広まります。
ハウスダンスが日本に来たのは1990年代以降。ニューヨークで「クラブダンス」として流行した後に日本でも人気を集めました。日本のハウスダンスの第一人者は、今や日本で「ハウスダンスのパイオニア」とも言われるダンスチーム「ROOTS」です。
その後、ダンスボーカルユニットTRFのダンサーSAMさんがハウスダンスを取り入れたPVが公開されます。ROOTSやSAMさんの影響もあり、ハウスダンスは日本でも有名なダンスジャンルになっていきました。
ハウスダンスとヒップホップダンスでは、使う音楽に違いがあります。
ハウスダンスでは比較的早めでアップテンポな曲を使い、流れるような足のステップを踏みます。それに対し、ヒップホップダンスではゆっくり目のテンポの曲で体を大きく動かして魅せるのが特徴です。
また、動きにも違いがあります。ハウスダンスは足元の動きが中心で、サルサやサンバのような細かく素早い足さばきが特徴的です。
一方、ヒップホップでは体全体を大きく使います。上半身もよく使うため、手や腕を大きく使うのが特徴です。
ハウスダンスで世界一に輝いた日本人はMiyuさんです。2023年12月現在25歳の女性ダンサーです。
Miyuさんは、世界最高峰と名高いダンスバトル大会「JUST DEBOUT 2017 WORLD FINAL」で世界一の栄光を掴んだ経験があります。その他、国内外問わず多くのダンスバトルでタイトルを獲得するなど、大活躍中です。
また、TikTokに投稿した「#高速ステップ」のショート動画が大バズりしました。TikTok Awards2022にて「Dance Creator of the Year」の受賞歴もあります。ダンスバトルだけではなく、SNSでも注目を集める若手ハウスダンサーです。
ハウスダンスの特徴を以下に5つまとめました。
中でも「足さばき」や「使う曲の雰囲気・リズム」が特徴的です。特に足さばきは細かいものも多いため、ハウスダンス初心者がやるには難易度が高いと感じるでしょう。また、ハウスダンスのフロアワークも一見すると複雑なものが多いです。
しかし、基礎的なステップからマスターしてハウスミュージックに合わせたステップが踏めるようになれば、アレンジを利かせて踊れるようにもなります。
まずは色々なハウスダンスの動画を見て、ハウスダンスの特徴や雰囲気を掴んでみましょう。
ここでは、ハウスダンスの代表的な動き・ステップを9つまとめました。
ハウスダンス以外でもよく使われるステップもありますが、ここではハウスダンスにおける各ステップの特徴を紹介します。
ダウンとは、かかとを若干浮かせた状態で膝を1拍ずつ曲げ伸ばししバウンドさせる動きです。基本形では足を肩幅に開きます。ハウスダンスに限らず、ヒップホップダンスやロックダンスなどでも頻繁に使われる基本の動きです。
ダウンのポイントは「力まない」こと。お腹は引き下がらないように固めた状態で、肩や膝はリラックスさせるのが上手くダウンができるコツです。慣れてきたら首を付けるとより魅せ方に磨きがかかります。
ツーステップとは、足を一歩外に出し、もう片方の足をその場で踏み、出していた足を前にクロスさせるステップです。
足は「右・左・右」「左・右・左」のように3歩ずつ踏みます。3歩目で足をクロスさせるときに腰の向きを切り替えるのがコツです。
足を3歩ずつ踏むため、初心者では体も3回バウンドさせてしまうことがよくあります。ダウンのリズムを崩さないことが、音に上手に乗れるポイントです。
パドブレとは、足を一歩外に踏み込み、反対足を後ろに踏み、3歩目で両足を揃えるステップです。体の向きは、足を踏みながら反転させていきます。ハウスダンスを習うと一番最初に教わることが多い基本のステップです。
パドブレでは、一歩一歩を踏み込み過ぎて全体重をかけると足を出すタイミングが間に合わず絡まっていきます。一歩目の足に体重をかけ、あとから踏む2歩は軽く”置く”ように踏むのが、軽やかさを魅せるポイントです。
サイドウォークとは、横に歩きながら左右の足を出し引きするステップのことをいいます。
最初に出す足をクロスさせると同時にもう片方の足を真横に蹴るように出し、真横に出した足を引いて反対足を開く動きです。足は「右・左・左・右」のように4歩使います。
サルサステップと似ていますが、ハウスダンスのサイドウォークではリズムを重く使って迫力を出すのが特徴です。混同しないようにポイントを押さえておきましょう。
また、サイドウォークでは常につま先側で踏むことを意識し、ベタ足にならないのがポイントです。
クロスステップは、足を開く・閉じる動作を繰り返すステップです。閉じるときに足をクロスさせ、体の向きもひねらせます。
ダウンのリズムを取るのが基本の形ですが、アップとダウンを組み合わせて「アップ・アップ・ダウン」のリズムでステップを踏めば、簡単なアレンジも可能です。
クロスステップでは、一定のダウンのリズムで足の「クロス・開く」を繰り返します。リズムどりが苦手な初心者の方でもリズムを維持させる練習におすすめです。
ヒールステップとは、左右のかかととつま先を交互に使うステップです。前に足を出す時はかかとを床に置き、戻す時はつま先から戻します。
上半身は直立させず、前に出した足の方に倒してリズムを取るのがポイントです。しかし、上半身を意識的に倒し過ぎると足が絡まってしまいます。脱力させる要領で力を抜くのが上手くいくコツです。
スワルとは、サイドに出した足にもう片方の足を寄せる動きをアップのリズムで繰り返すステップです。足は大きく出し過ぎず肩幅で出します。
寄せる足は開いた足の少し斜め前につま先を置く感じを意識しましょう。腕は歩くときと同じようにリラックスして振るのがポイントです。
また、ステップしながら左右に体重移動させますが、上半身ごと左右に振られてしまうとステップが遅れてしまいます。体の軸は常に中心にあるように意識するのがポイントです。
早い足の動きに慣れてきたら、腰をひねる動きを入れることでよりおしゃれなステップの魅せ方にできます。
シャッフルとは、左右の足を交互に前にキックし3歩目で体と足をひねるステップです。「アップ・アップ・ダウン」のリズムを使って体を左右にダイナミックに動かします。
ポイントは、腰の向きの切り替えです。2歩目でキックした足を3歩目で後ろにクロスさせる際に、床についている足の方向に腰をクイッとひねってダウンします。足の動きに慣れてきたら手の動きも付けるとかっこいい魅せ方になるでしょう。
また、早くてダイナミックな動きなので、つま先重心でステップを踏むことが大切です。音に置いて行かれないように意識してみましょう。
ドルフィンとは、その名の通り「イルカ」のように体を滑らかに潜らせるようなフロアワークです。四つ這いの状態から始まり、片足を大きく上に上げると同時に腕立て伏せのように腕を曲げて胸・腹を床に順番に付けます。
ハウスダンスのフロアワークの中でも一番初めに習うことが多いのがドルフィンです。腕の筋肉が必要なため、女性は特に最初は難しく感じるでしょう。しかし、毎日少しずつ練習を重ねることで必要な筋肉がついていきます。
また、床の上でも体をコントロールする体幹も必要です。まずは上半身の潜らせる動きから練習していくのをおすすめします。
ここでは、ハウスダンスの主な有名人を5人紹介します。
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歌手のMISIAさんのツアーダンサーとしても活躍するHIROさん。日本を代表するハウスダンスチーム「ALMA」の一員であり、そのほか「S.T.O」や「GLASSHOPPER」というハウスダンスの大御所チームにも所属しています。
HIROさんの踊るハウスダンスは「足音がしない」と噂されるほど、人間離れしたステップやフロアワークが魅力。
今や活躍は日本に留まらず、世界大会でNo.1の栄光を獲得するなど、世界規模でダンス界に影響を与えているスーパーハウスダンサーです。
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小学生の時に全国準優勝、中学生になると全国優勝という輝かしい栄光を持つKAZANEさん。今でもさまざまなダンスバトルやコンテストで栄光を掴み取り続けています。
EXILEやTRFなど誰もが知る日本のダンスボーカルグループのイベントダンサーとしての出演歴も多数です。また、振付師やダンスインストラクターとして指導するポジションでも活躍しています。
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HIROさんと同じ「ALMA」の一員であり、国内外問わず多くのゲストショーやワークショップなどに引っ張りだこのPInO(PInOSHIGe)さん。
SMAPやTRFなどの有名グループのバックダンサーや振付師を務め、アーティストたちから深い信頼を得ているプロダンサーです。
ハウスダンスを自身の主なジャンルに活躍するPInOさんですが、実はヨガの資格保持者。ヨガは身体の繊細な使い方に特化したものであるため、PInOさんの踊るハウスダンスにはどこかしなやかな動きも見えます。
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Brian Greenさんは、ハウスダンスの創始者であり、ワークショップや・ダンスショー・コンテストの審査員として世界中を飛び回る世界最高峰のダンサーです。
彼の作るダンススタイルは、ヒップホップ・ハウスダンス・ジャズダンス・タップ・バレエ・モダン・アフリカン・Wacck・Vogueなど多くのジャンルをかけ合わせた独自のスタイル。
繊細で素早いステップや細かな体の動きには多くのダンサーが魅了されており、彼の動画を参考にダンスの研究をしている人も多くいます。
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ハウスダンス界の先駆者としても名高いTony McGregorさんは、ニューヨークを代表するダンスチーム「DANCE FUCION」のメンバーの一人です。
ハウスダンスにおける基礎の「The Blueprint」という動きの考案者としてもその名をとどろかせています。
アメリカ・カナダ・日本・その他アジアやヨーロッパ諸国など、世界中のダンスコンテストでの審査やワークショップの指導者などで活躍。ビデオや映画などのパフォーマンスダンサーとしても引っ張りだこのダンサーです。
ハウスダンスには、クラブミュージックの一種であるハウスミュージックが使われます。ここでは、ハウスダンスのおすすめ定番曲を5つ紹介します。
この曲はハウスダンスをしている人が必ずと言っていいほど一度は聞いたことがある有名ハウスミュージックです。
クラブミュージック独自の重いビートが鳴り響く曲とは少し違い、メロディやボーカルの音が主軸となっているのがこの曲の特徴です。ビートが強くないため、優しくサラッとした曲調にも聞こえます。
おしゃれで軽やかな雰囲気をダンスに出したい時におすすめのハウスミュージックです。
「Grad Her!」は、ハウスダンスバトルでもよく使われる定番曲。歌詞はほとんど無く単調なビートの繰り返しの一曲ですが、一度聞いたら頭を離れず聴く人を飽きさせない楽曲です。
ビートが強めに響いておりリズムが刻みやすいため、ハウスダンス初心者の基礎練習にも繰り返し使いやすいでしょう。
ラップ調の歌の後に来る間奏のメロディがクセになるハウスミュージックです。
ハウスダンスに使う際は、歌があるパートと歌のない間奏パートで体の使い方・魅せ方を変えれば、見る人を魅了するかっこいいパフォーマンスになること間違いありません。
単調なビート・メロディの中に女性の上品な歌声が入っているおしゃれなハウスミュージックです。
EDMのように、曲の途中で雰囲気が変わり盛り上がっていくパートがあったり、刻まれていた重いビートがなくなってサラっとした曲調に転調したりします。
同じ一曲の中でも雰囲気がコロコロと変わるため、ハウスダンスの魅せ方や表現にも幅を持たせられるでしょう。
イギリスでのクラブミュージックの広がりを支えたUnderworldの代表曲であるRezは、歌詞が一切ないビートとメロディ中心の定番ハウスミュージックです。
9分を超える長さの曲ですが、5分あたりから曲の雰囲気が少し変わり聴く人を飽きさせません。また、全体的に優しく快いメロディを奏でているのも魅力の一つでしょう。
ここでは、ハウスダンス初心者の方でも分かりやすく基礎を学べるレッスン動画を3つ厳選しました。
ハウスダンスは足のステップが細かくて一見難しそうに見えるダンスですが、基礎からゆっくり身に付ければ素早いステップも軽々踏めるようになります。
初心者で不安な方は、紹介する動画を参考に基礎からじっくり練習してみましょう。
この動画には、ハウスダンスのステップ10種類のおすすめ練習方法を1本の動画に分かりやすくまとめられています。
月100本以上ものレッスンを請け負う人気インストラクターの万里さんが解説しており、初心者でも視覚的に理解しやすいでしょう。
目的や注意点を分かりやすく一言でまとめているほか、カウントの取り方をスロー動画とともに教えてくれます。また、前・横・後ろからの動画が見れるのもおすすめポイントです。
プロダンサー養成所の講師や全国大会常連校のダンス部のコーチを務めた経験もあるハウスダンサーLISAさんが解説する基礎動画です。ハウスダンスの基礎ステップを19種類も盛り込んだ豪華な内容になっています。
一つ一つのステップの足運びをシンプルに分かりやすい言葉で説明されており、視聴者からも「分かりやすい」と好評の声が多いです。
ハウスダンスの基礎となる以下4つのステップが分かりやすく解説されている動画です。
動画を見ながらレッスンの様な感覚で、ゆっくりのテンポと早いテンポでの練習ができます。4種類のステップをじっくり8分かけてやるため、毎日のプチエクササイズにもおすすめです。
ハウスダンスの初心者にとって、素早い足さばきやフロアワークを1人でマスターするのは少々難しいかもしれません。
動画で学ぶのも一つの方法ですが、インストラクターの動きを目の前で見れるダンス教室で学び始めるのがおすすめです。ダンス教室に行くことで、分からないことがあれば直接聞けるというメリットもあります。
より正しく・早く・確実にハウスダンスをマスターしていきたい方は、ダンス教室に通う選択肢を考えてみるのも良いでしょう。
ハウスダンスをマスターして、ダンスのジャンルにとらわれず踊れるダンサーを目指していきましょう。
oDoriでは、日本のダンス業界の活性化のため、若手ダンサーにフォーカスしたグループを立ち上げました。当社は98%以上のダンサーの収入が年収200万円以下という社会問題に対して、課題意識を持っており、解決したいと心から願っています。その為、バックダンサー、振付制作の案件紹介はもちろんのこと、ダンサーの特性を活かせる様々な業務のご紹介を行っております。